ジャパン・ナショナル・クロスカントリー、通称JNCC。2005年から全国シリーズとして日本のクロスカントリーシーンを一手に、現在はウィークエンドレーサー向けの「WEX」とあわせて年間7000人以上の動員を誇る。社員でありチャンピオンの小池田猛によれば「今年は、昨年より増加傾向にあるので、8000人も狙えるかもしれない」と言うほど、シーンが過熱している。

用意された最高のフィールドを走りたい、そして結果を出したい

画像: 用意された最高のフィールドを走りたい、そして結果を出したい

オフロードバイクを取り巻く状況は、年々変わってきていて、世界的にもライディングを楽しめる場所が少なくなってきている。環境保全や、住民配慮のためだが、日本はその傾向が進んでいるとも言える。以前、ドイツ人のエンデューロライダーと話したことがあるが、本当に走る場所がなくてライダーが育たないと言う。また、専用のコースも土日のみ走れるとのことで、ドイツ人は国境を越えてライディングを楽しむことが多いそうだ。欧州は、特に局部的に走れる場所が発達していて、周辺で盛り上がる傾向にあると言える。

日本は、JNCCの創設期にあたる2000年代頃から、特にクローズドコースで走ることがライダーの間でも推奨されていき、今ではトレイルカルチャー自体がほとんど無い。Off1としても、オフロードを愉しむフィールドとしては、クローズドコースもしくはレースで手配されたトレイルのみを紹介していくつもりだ(林道をツーリングの過程として楽しむことを除く)。

前置きが長くなったが、クロスカントリーシーンは「思い切り走れるフィールド」を常に新しくアップデートしてきたことで、ブームを牽引してきた。いまは、競技としての価値も上がってきたことで、モトクロスライダーが流入してきたり、海外から少しずつ参加者が来たりと、新しい動きも見え始めている。

第3戦の広島県テージャスランチは、まさにJNCCを代表するコースの一つ。山間の牧場をベースに切り拓かれたフィールドは、路面やセクションに富み、どんなレースをも開催できる包容力があるのだ。

小池田猛の圧倒と、待望される次世代

画像: 小池田猛の圧倒と、待望される次世代

第3戦は、早々にレースの勝負がついてしまった。

アメリカのGNCCにチャレンジしていた経験もあり、全日本モトクロスのIA1タイトルも持っている小池田猛は、JNCCでは圧倒的な存在だ。これまで、パワーに劣るマシンで参戦したシーズンもあったが、それをもはね除けてほぼ全戦で勝利。特に、序盤から後続を引き離してしまい、追いつかせない戦略が堅い。この第3戦にいたっては、2周目でトップに立ってから2分ほどのリードを作って2番手渡辺学につけいる隙を与えなかった。

2位渡辺学は、前戦で傷めた肩周りに不安が残り、ペースを抑えて走ったと言う。長いシーズンの中、ポイントを考えれば攻める時ではないこともあるわけだ。

今大会で最も注目すべきは中島敬則。モトクロスのIAランカーだった中島は、エンデューロ、クロスカントリーに取り組み始めて、はじめてJNCCのAA3位を奪取した。

「JNCCが、楽しくなってきた」

画像1: 「JNCCが、楽しくなってきた」
画像2: 「JNCCが、楽しくなってきた」

中島は、オンタイムエンデューロの全日本エンデューロ選手権にも取り組んでいて、本人はオンタイム向きなのではないかと感じているという。ただ、この初表彰台でだいぶ印象が変わったようだ。

「自分的にはJECの方が合っている様にも感じますが、クロスカントリーにはクロスカントリーの良さがあると分かるようになってきました。周りの人の応援が熱くて、励みになる。目標はまずは1勝ですが、JNCCではほど遠いですね。先輩たちが速すぎ…」とのこと。

モトクロスの全日本を走るライダーは、仕事と掛け持ちして出るようなライダーはすくなく、ほとんどのライダーが生活の中心をモトクロスにおく。もちろん、そのような環境をずっと維持することは難しいから、いつかは引退を考えざるを得ない。中島もその一人で、エンデューロに転向している今は、家庭を持ち、大黒柱として平日・土日問わず仕事に精を出しているわけで「なかなか練習できない、モトクロス時代からするとほとんどしていない」と。

ただ、このあたりの事情はモトクロスでも同じかも知れない。プライベーターで参戦するなら、マシンや宿泊や移動を全部自分で手配するのが普通だし、ファクトリーの席を手に入れれば、すべてを成績のために集中できる「プロライダー」としての環境が手に入る。JNCCのトップ3名は、ファクトリーではないけれど、一般人に比べればバイクに乗る時間を多く持っている。こういった環境のなかで、上を目指すことは、ホビーの枠を逸脱して「生活をバイクに少なからず向ける」苦しさを伴う。

中島はこの辺のことを、「楽しくなかったらこんなにお金のかかる遊びはしない方が良いですよね(笑)」と言い切る。実は、数日前から風邪をひいてしまっていて「前日から、ルルとリポDとC1000のセットを3回飲みました!」と楽しそうに言う中島。次戦は5月20日、岐阜県の鈴蘭スキー場。こちらも難易度の高いことで有名なコースだけど、ぜひ腕に覚えのある人は挑戦のほどを。

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